今年も寒い季節がやってきました。北国に住む私たちにとって寒い冬は慣れているという方も多いかもしれませんが、やっぱり冷えた身体をあたためてくれるお風呂は最高ですよね。しかし、疲れた身体をあたためて癒してくれるリラックスタイムに思わぬ危険が潜んでいます。
それが今回のテーマの「ヒートショック」。急激な温度変化により引き起こされる、恐ろしいヒートショックですが、ここでは基礎知識と対策について解説していきます。工務店の目線から、リフォームやリノベーションで行うことができる対策についても詳しく解説しますのでぜひ最後までお読みください!
ヒートショックの基礎知識
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が急上昇・急降下し、血管や心臓に大きな負担がかかる状態のことです。例えばあたたかい場所から寒い場所に移動すると、ぶるっと身体が震えることがあります。実はこの時は体内で熱を生み出しており、血管を収縮させて血流を減らすことで熱を保っています。この時は血圧が上昇していますが、その後にあたたかい場所に移動したり、湯舟つかったりすると血圧は急降下します。このような気温差によって引き起こされる血圧の急上昇や急降下がヒートショックを引き起こしてしまいます。
ヒートショックは、めまいやふらつきを引き起こし、重度の場合は脳卒中や心筋梗塞を発症する可能性があるので非常に危険です。
ヒートショックを起こしやすい人の特徴
ヒートショックになりやすい人には特徴があります。まずはどんな人がヒートショックになりやすいのか確認しましょう。
・65歳以上(特に75歳以上)
・狭心症や心筋梗塞、脳出血・脳梗塞などの病歴がある
・不整脈、高血圧、脳梗塞などの持病がある
・飲酒直後や食事直後に入浴する
・薬を服用した直後に入浴する
・一番風呂や、熱めのお湯に長くつかる
・深夜に入浴する
このような健康状態や生活習慣を持つ方はヒートショックを起こしやすいという統計があります。
さらにヒートショックを起こしやすい人は居住空間に問題を抱えている人も少なくありません。例えば浴室や脱衣所に暖房設備がなかったり、居間から離れているなど、入浴前に気温差にさらされやすい方はヒートショックを起こす危険性が高くなっています。
寒冷地での危険性と青森県の浴室事故統計
続いて、私たちが住む青森県のデータを確認してみましょう。青森県 県土整備部建築住宅課が発行する資料によると、令和3年の青森県内の家庭内での不慮の事故による死亡者数は254人。同年の交通事故による死亡者の29人と比較すると、家庭内事故による死亡者数は8倍以上にのぼります。
そしてその不慮の事故死の原因で最も多いのが溺死及び溺水で、ほどんどが浴室で起こっています。その一因はヒートショックだとされています。
やはり冬場の冷え込みが激しい青森県では住宅内での温度差が大きくなりやすい点がヒートショックが増加する原因となっています。
参考:青森県県土整備部建築住宅課 『安全』に『安心』に『健康』に暮らせる住宅リフォーム
浴室で行うべきヒートショック対策
それではヒートショックの基礎知識を身につけたところで、ヒートショックを起こさないためにはどのような対策が必要なのか、確認していきましょう。
日常で注意するべきポイント
・熱いお風呂に長くつからない
熱いお湯につかると血圧の変動が大きくなるので、ぬるめのお湯につかるようにしましょう。長風呂もヒートショックの危険性が高くなるので10分までが安全に入浴できる目安です。また、心臓病や高血圧の方は水圧によって心臓に負担がかかるので、半身浴であたたまるのがいいでしょう。
・かけ湯をする
寒い時は一刻も早くあたたかい湯舟につかりたい気持ちもわかりますが、ヒートショック予防のためにはかけ湯で身体を慣らすことも大切です。心臓から遠い手や足から徐々に慣らしていきましょう。
・冷え込む時間帯を避ける
浴室があたたまる前の一番風呂や、冷え込む深夜の入浴を避けるようにしましょう。
・入浴前後に水分をしっかりと取る
入浴の前後に水を飲むことで血圧の変動による疾患を抑えることができます。
・浴槽から急に立ち上がらない
浴槽から急に立ち上がるとめまいを起こすことがあります。お風呂からあがる時は手すりやバスタブの縁に手をかけて、ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
・飲酒後、食後の入浴は避ける
飲酒後は血管が拡張して血圧が低下します。食後も血圧が急降下する恐れがあるので、入浴は避けるようにしましょう。体調不良の時や、薬を服用した後も同様に入浴は避けるようにしましょう。
お家の設備で行える対策
日常で行うことができるヒートショックの予防についてご説明しましたが、注意点が多く、ついおろそかになってしまうこともあるかもしれません。そこで家の設備を活用したり、リフォーム・リノベーションしたりして室内の気温差をできる限り少なくするといった対策がおすすめです。次項ではヒートショック対策に効果的なリフォーム・リノベーションをご紹介します。
ヒートショック対策でおすすめのリフォーム・リノベーション
断熱材や二重窓による断熱化
まず大事なのが外からの冷気の侵入を防ぐこと。天井や壁、床に断熱材を敷き詰めることで冷気の侵入を防ぎ、熱を逃しにくくなります。さらに、窓を二重窓にすることも有効な対策です。室内のあたためられた空気は窓を通して外に逃げていきやすいので、窓の断熱化も重要です。
最新のユニットバスにする
現在の浴室が冷たいタイルを使用した在来工法である場合は、ユニットバスを導入すると効果があります。また、現在もユニットバスのご家庭でも築年数が経っている場合は断熱材などが不十分である可能性もあるので、ユニットバスの状況を確認してみましょう。
浴室暖房の設置
断熱性能を高めた浴室でも服を脱ぐとある程度の温度差に対応しなければなりません。この温度差を軽減するためにおすすめなのが浴室暖房。浴室をあらかじめあたためておくことで気温差を最低限に抑えることができます。
また、浴室暖房には乾燥機能などの追加機能がついている製品もあります。ヒートショック予防だけではなく、雨の日の洗濯物干し場として使用したり、心地よいミストサウナ効果を味わったりと、便利な使い方ができるのも魅力です。
床暖房による各部屋の室温差の軽減
浴室以外のリフォームにはなりますが、床暖房の設置もおすすめの対策です。その他の暖房器具では足元が寒いとお悩みの方も多いと思いますが、足元からあたためる床暖房はそれほど室温を上げなくても快適に過ごすことができます。リビングはもちろんのこと、可能であれば脱衣所などにも設置できれば理想的です。
ヒートショック対策リフォームでも補助金が使えます
このようにヒートショックを予防するために効果的なリフォームは様々で、もちろん全てのリフォームを行うことができればその分効果は大きくなります。リフォーム費用は安くありませんが、リフォーム内容によって申請できる補助金もあります。
例えばユニットバスや高断熱浴槽を設置する場合は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を受けることができます。
また、高齢者の方のために浴室に手すりを取り付けたり、滑り防止などのリフォームを行えば「高齢者住宅改修費用助成制度」の助成金を申請できる可能性もあります。
補助金や助成金の申請についてはリフォーム業者に確認するようにしましょう。
リフォーム・リノベーションでヒートショックの危険性を抑えましょう!
ここまでヒートショックの危険性と対策について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。ヒートショックは日常の中で突然襲いかかる恐ろしい症状です。防止するためには毎日の注意の積み重ねが大切です。
グリーンホームズはヒートショック対策のための浴室リフォームの実績も豊富です。大切な家族の健康を守るために、まずはお気軽にご相談ください。皆さんの浴室の形に合わせた最適なリフォームをご提案いたします!
お風呂でリラックスタイムを安心して送れるように、リフォーム・リノベーションをぜひご検討ください!